投薬治療の目標は症状を引き起こす炎症を緩和することです。最善のケースでは、症状の緩和だけでなく長期鎮静が可能になります。潰瘍性大腸炎の治療では、投薬治療もしくは手術のどちらかが行われます。
医者は通常いくつかの種類の薬を使って炎症をコントロールします。しかし、ある人に良く効く薬でも他の人には効かない場合もあるので、その人に適した薬を探すには時間がかかります。それに加えて、ひどい副作用がある薬もあるので、どんな治療でも利益と危険性を比較検討しなければなりません。
スルファサラジンは潰瘍性大腸炎の症状を軽減するには効果的ですが、吐き気、嫌悪感、胸焼け、頭痛など多くの副作用が起こります。サルファ剤のアレルギーがあるならこの投薬治療は受けないで下さい。
この投薬治療はスルファラジンと比較して副作用は少ないです。潰瘍性大腸炎が発症している大腸の部位によって、錠剤として服用するか浣腸や坐薬の方法で投与されるか異なります。メサラミン浣腸剤は大腸や結腸の左下部に潰瘍性大腸炎が起こっている80%の人の症状を和らげることができます。オサラジンは人によっては下痢症状を起こしたり、悪化させたりします。
メサラミンの別の形です。バルサラザイドは抗炎症薬を大腸に直接運びます。バルサラザイドはスルファサラジンと似ていますが、中毒になりにくく副作用も少ないです。
副腎皮質ステロイドは炎症を軽減しますが、顔のむくみ・過度の顔の毛・寝汗・不眠・活動過剰など多くの副作用があります。より深刻な副作用として、高血圧・2型糖尿病・骨粗しょう症・骨折・白内障を引き起こしたり、感染を受けやすくなります。子どもがこれらの薬を長期間使用すると発育不良になることもあります。
副腎皮質ステロイドは潰瘍性大腸炎の全ての人に効果があるわけではありません。医者は一般的に、炎症性大腸炎の人で他の治療が効かない中程度から重度の人に副腎皮質ステロイドを処方します。副腎皮質ステロイドは長期間使用には向いておらず、3~4ヶ月の処方が一般的とされています。
これらは病状の一時的緩和の手段として他の薬との組み合わせとして使われるかもしれません。例えば、副腎皮質ステロイドは免疫組織の抑制としても使用されます。副腎皮質ステロイドが一時的に鎮静する一方で、免疫組織抑制剤は鎮静を維持する働きを持ちます。時々、医者は浣腸のステロイド剤を処方して大腸や結腸の下部を治療します。これらのステロイドは短期間使用します。
免疫組織抑制剤も炎症を軽減しますが、炎症それ自身ではなく免疫組織を標的にします。免疫抑制剤は潰瘍性大腸炎の治療に効果的です。大腸組織に与える損害はウィルスやバクテリアの侵入や組織自身に対する免疫反応によって引き起こされると考えられています。この免疫反応を抑制することで炎症は軽減します。
免疫抑制剤は以下の通りです。
これらの医薬品はクローン病の治療に何年も使われてきましたが、潰瘍性大腸炎での効果はまだ研究段階です。アザチオプリンやメルカプトプリンは効力が遅いので、最初は副腎皮質ステロイドと一緒に組み合わされます。徐々にそれ自身の効果も出てきて、長期服用しても毒性は少ないです。
副作用としてアレルギー反応、骨髄抑制、感染、膵臓や肝臓の炎症を引き起こすこともあります。これらの薬のいずれかを使用している場合は医者に通院して、血液検査を綿密に定期的に受けて、副作用がないか確認する必要があります。
この強力な薬は、他の投薬治療が効かない人や手術が必要なほどの潰瘍性大腸炎の人に使用されるものです。シクロサポリンの服用で、外科手術に耐えられる体力が付くまで手術を遅らせることができますが、他の用途としては、中毒性の弱い薬が症状に効き始めるまで症状を抑えるために使われます。シクロサポリンは効果が出始めるまでには1~2週間かかりますが、腎臓や肝臓に損傷を与えたり命にかかわる感染、リンパ腫の危険性があるなどひどい副作用が出る可能性があるため、医者と治療の利害についてよく話しあう必要があります。
この薬は他の治療には耐えられなかったり、他の治療では効果があまり見られないような中程度から重症の潰瘍性大腸炎の大人や子どもに特に効果的です。腫瘍壊死因子として知られる免疫組織により作られるたんぱく質を中和する働きがあります。インフリキシマブは血流内の腫瘍壊死因子が、腸管内で炎症を起こしたり、瘻孔と呼ばれる感染した傷を形成する前に取り除いています。
心臓病、多発硬化症、がんやがんの病歴がある人はインフリキシマブを使用できません。インフリキシマブを現在服用しているなら、医者に潜在するリスクについて話した方が良いでしょう。インフリキシマブは結核などの感染のリスクと関連があり、血液に問題を起こしたり、腫瘍のリスクを高めたりします。インフリキシマブを服用する前には皮膚検査が必要で、結核が起こったことがある場所へ旅行したり、住んでいたことがある場合には胸部レントゲン検査を行う必要があります。
インフリキシマブはネズミのたんぱく質を含んでいることもあり重大なアレルギー反応を引き起こす場合もあります。その反応は治療が始まってから何日も何週間も遅れて起こります。インフリキシマブは長期治療として続けられますが、効果は時間の経過とともに低下します。
喫煙者が使うものと似ている皮膚のパッチは、潰瘍性大腸炎が突発的に起こったときに短期間で症状を緩和できます。特にかつて喫煙者だった人によく効きます。現在、ニコチンパッチの効力は明確でなく、症状を緩和するという証拠は研究者の間で論争中です。ニコチンパッチの治療を開始する前には医者に相談してください。
喫煙が潰瘍性大腸炎の治療法として取り上げられることもあります。しかし、喫煙によって被る被害は、喫煙によってもしかしたら得られるかもしれない潜在的な利益の何倍もの物です。喫煙を潰瘍性大腸炎の治療法として考えない方がよいでしょう。
炎症を抑えるのに加えて、投薬によっては症状を緩和するものもあります。潰瘍性大腸炎の重症度によって、医者は以下の1つか2つを勧めるかもしれません。
オオバコ粉のような線維サプリメント(メタムシル)やメチルセルロースは、排泄物に繊維質の食品を加えることで、軽度から中度の下痢による症状を和らげる効果があります。より深刻な下痢にはロペラミドが効果的です。抗下痢剤の投薬治療は非常に大きなリスクがあり、中毒性巨大結腸の危険性を高めます。
腫れによって腸が狭くなって便秘を起こす場合もあります。市販の薬は効果が強過ぎて不快な場合もあるので下剤を飲む前に医者に相談した方が良いでしょう。
軽い痛みには医者はアセトアミノフェンを推奨します。アスピリン、イブプロフェンやナプロクセンのような非ステロイドの抗炎症薬は使わないで下さい。これらは症状を悪化させます。
慢性の腸出血がある場合、鉄欠乏貧血を起こすかもしれません。鉄のサプリメントを服用することが、鉄の値を正常に保って、出血が止まった場合は、鉄欠乏貧血を再生します。
食事やライフスタイルが変え、投薬治療や他の治療をおこなっても症状を緩和できない場合、医者は手術を勧めるかもしれません。
手術は潰瘍性大腸炎を排除することができます。それは結腸や直腸全体を取り除くということです。過去には、この外科手術の後、腹部の手術後の傷の上に小さな袋を被せて便を集めていました。それに代わって現在では、小腸の最後の方にパウチを取り付けています。パウチは肛門に直で取り付けられています。腸が水を吸収する必要性がないため、通常の5~7倍の柔らかい水っぽい腸の動きになっていつものように排泄ができます。
外科手術の場合、回腸造瘻術か回腸嚢がその人にとって適切かどうか、医者と相談するべきでしょう。潰瘍性大腸炎の25~40%の人は、最終的に外科手術が必要になります。